人生を「旅行」だと思ったなら？

先日、中3の娘とデート。

渋谷のシアターオーブにミュージカルの「天使にラブソングを」を

見に行った

作品はとっても素晴らしくて。娘も「見てよかった！！」とにこにこ。

うん。2枚合計2万ン千円のチケットを投資した甲斐があるよ。

ぜんぜん、裕福じゃない我が家だけど、「感動」にはお金を払いたいのが

私の主義。

さて、こジャレたお店が大好きなお年頃の娘は、「今がチャンス！」と

「渋谷でご飯たべてかえりたーい！」とのたまう。

うん・・私一人なら、家に帰ってカップラーメンなんだけどね。

余韻にひたって、しゃれたお店でおいしいもの食べたい気持ちもよくわかる。

「あんまり高くないとこなら、いいよ」と、娘に負ける。

嬉しそうにヒカリエのレストラン街を物色する娘。

そこで、オシャレなパブ風なんだけど、タピオカドリンクの写真が

どーんと飾られているお店に引き寄せられる。

ストロベリーソーダタピオカ、キウイソーダタピオカ、

それに、ビールとタピオカのカクテルまであるーー！！

「いいね、いいね！ここにしよう！」二人で一致。

実は、さっき劇場出るとき、ヒカリエのレストラン街で、ドリンク1杯無料になるチラシを

もらったんだよね。

だからさ、娘はソーダタピオカ、私はビールタピオカ、タダで飲めるんじゃない？

ところが・・・・

いざ、席についてウェイターさんに聞いてみると、タピオカドリンクは

サービス対象外であった。

そっか・・そうだよね。こんな看板メニューがタダになるわけない、か。

すると、娘はおとなしく「じゃあ、グレープフルーツジュースで」と

無料サービスになるソフトドリンクを選んだ。

いつもは、かなり自己主張の激しい、マテリアルガールなのに。

私もタダ対象のグラスワインを飲んで・・・

それはそれで、食事を楽しんだ。

帰り際、きらきらしたタピオカのメニューを心残りに眺めた。

あーあ、こういう素敵なものは、やっぱりプラスでお金払わないと

手に入らないんだなぁ、って。

レジで、ドリンク代がタダになって安上がりだったことに、満足したけれど

帰り道、私は、何かがひっかかっていた。

あの、しゅわしゅわでつぶつぶの、タピオカドリンクの写真が

頭から離れない。

夜道を歩きながら、娘に言った。

「あのタピオカさ、やっぱりお金払っても、飲めばよかったかな？」

「うん、そうだよ。私なら、買っちゃう。」と娘。

1杯たった、650円くらいだった。

私は、左脳で数字を一所懸命計算して、右脳の欲求を抑え込んだんだ。

今日はチケットにお金かけてるから、しかも夕ご飯も外食で贅沢で。

飲み物は無料サービスにしなきゃ損！・・みたいな計算。

だけど、

そんな風に、ちょびっと、お金で得をしたけれど

何か、もっと、大事なものを、手に入れ損ねたんじゃないか？

他で見たこともないドリンク。あれが飲みたくて入ったお店。

あのきらきらを見つめて、ごくごく飲みほしてみたかった。

その味は、体験しなければ、決してわからない。

「なんかさ、これが旅行先だったらねー

　ママは、絶対、惜しまず、頼んでんたんだけどな。

　今しか飲めない！　体験しなくちゃもったいない！って。」

と、自分で言って、気が付いた。

本当は、人生、毎日が旅行みたいなもんなんじゃないの？

今日という日は、今日しかない。

毎日が、二度と味わえない1日なのだ。

この、ミュージカルの余韻にひたった気分で、タピオカビールを飲む機会は

永遠に失われた。

そして・・・タピオカが無料じゃないと知ったとたん、

おとなしく、あきらめた娘。

彼女は、私の日頃のお金の使い方を見ているんだ。

「あれが欲しい！」という欲求をなるべく抑え、堅実に、想定内で暮らそうとする私。

それって、いい教育なのかな？

もちろん、欲望のままに破産するような人にはなって欲しくないけれど。

1杯のドリンクを、ここぞという時には注文して、自分を満たしてあげられる心を

持ってほしい。

そう。人生の楽しみ方。　私はそれを娘におしえそこねたのかも。

「お金が減っちゃう」っていう不安感じゃなくて

「自分を潤してあげるために快く使う」っていう部分を、もっと磨いていきたいな。

こんど、娘とあの素敵なタピオカを飲みに、ヒカリエまで行ってこようかな？

それこそ、旅先で、ずっと行きたかったお店に突撃するみたいに。