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「帰納法」が苦手なまま、編集者として生きる

  • 内山典子
  • 2020年2月18日
  • 読了時間: 3分

先日、とある敏腕女性編集者さんの講座を受講した。

ほぼ、私と同年代。

でも、私とはえらい違い。

きら星のような作品をあまた生み出したヒットメーカーで

ご自身も、その編集経験を生かして、仕事術の著書を出版されてる。


うーん!まぶしすぎる!


その日の講座も、資料はとってもわかりやすくチャーミングで

でも、ノウハウがぎゅぎゅっと詰まっていて、

「聞いてよかった~」って思った。


なにより、すっかりその編集者さんのファンになってしまった私。


帰りに、そのご著書を購入し、「のりこさんへ」とサインをしていただく。

かたや、ペンを持って著書にサインする編集者、

私は、購入した本を胸に抱いてドキドキ順番を待つ一読者。


帰り、イルミネーションの夜道を歩きながら

「この違いは、何なんだろー?」と、考える。


編集術で講座を開けたり、仕事論にまで広げて、本を書けたりするなんて。

すごいなぁ。

そもそも私に、人に説明できるような、企画編集のノウハウがあるだろうか?


この道20年あまり。キャリアだけは長い。

でも、普段、何を考えて、仕事してるっけ?


そこには、一貫性のあるノウハウとか、成功法は、まるでなくて

動物的なカンのみで、こなしている気がする。


会社に勤めてた頃、

「再現性のあるパフォーマンスを!」と、よく言われたなぁ。

もし、私がいなくなったとしても、

同じような成果物を組織の誰かが再現できるような

ノウハウを確立することが、求められていた。


私は、言語化できない、カンのみで仕事してたので

そういうのが、とっても苦手だった。


今でも、新しい仕事がくると、どう料理しようか、よくわからない。

なんとなく、かじりやすそうなところから

カジカジかじって、少しずつ形ができていく。


うん、これって、昔、学校で習った

「帰納と演繹」ってヤツじゃないか?


具体的な事例から、法則性を見出すのが帰納。

逆に法則から、具体例とか個別の事例を導き出すのが演繹。



かなり乱暴な理解かもしれない。


というか、もはや「内山説」。


でも、成功する仕事術とかノウハウを引き出すのは

「帰納的」だと思う。


私は、それが苦手なんだなー。


あくまで、1つ1つを、個別のものとして

向き合い、体験し、記憶に刻む。


それだと、私の仕事には、他の人に共通する再現性がない。


分け与えられるノウハウがない。


だから、今みたいな働き方、在り方に留まっているのだろう。


だけど

思い出す言葉がある。


学生時代の同期の男の子が、昔、つぶやいた言葉。

ちょうど、私たちが30歳前後だった頃だと思う。


「俺が死んでも残るものよりも、

 俺が死んだら、消えてしまうもののほうが、価値がある気がする」


この言葉は、しみた。

会社で「再現性のあるノウハウを確立しろ」を言われ続けていた頃の私に。


私という人間に属する、言葉にならない色んなもの。

匂い、温度、抑揚、間合い、手触り、愛・・・


渾然一体となったまま、シャープな仕事術もないまま、

私は、不器用に1つ1つの仕事と出会い、たっぷり味わっていく。

そういう仕事人なのだと思う。

 
 
 

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